先週の土曜日の動物関係のテレビ番組をご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか?
僕は直接見てないのですが、家族からその内容の話を聞いて、愕然としました・・・

。と、同時に、憤りを抑えきれませんでした

その内容を抜粋して、僕の憤慨した部分だけここに列記させていただきます。
「柴犬は、室内飼育に向いている。無駄吠えしないから。」
おいおいおい!!!
確かに、無駄吠えはほかの犬種に比べて、少ないかもしれませんけど、吠える子はしつこく吠えますし、テリトリー意識の高い犬種ですから、十分な社会化が少ない場合で、その子が警戒心の強い場合では、来客が犬好きで、無意識に犬に近づいてしまった時に、突発的に来客に攻撃してしまうこともあり得ると考えます。
また、皮膚科的にも、皮膚科的心身症と言われる精神的なストレスの関与する皮膚病も見られる犬種でもあり、人のそばにいることが長い室内飼育では、長時間人に見られていることでストレスをためる犬も多く、(中学生くらいになると、自分の部屋が欲しくなったでしょ!それと同じ感覚なんですよ。) ですから、本来の柴犬らしい『室外飼育』を強くお勧めします!!(もちろん、夜間だけは室内にする事は問題ないと考えます)
次に、「トイ・プードルは、散歩が必要ではなく、室内の運動で十分。抜け毛も少なく、お手入れも楽。」

おいおいおい!!!!!

この写真を見てください。これは、ベネッセ社の『いぬのきもち 2007年 9月号』の中の1ページです。
これで、一目瞭然ですよね!! 柴犬よりも、散歩が必要って、、、書いてあるじゃないですか!!!
先祖は、猟犬です!! 散歩が少ないと、体の欲求がたまり、ストレスがたまり、それこそ、体調を崩してしまう子を診療したこともありました!!
お手入れに関しては、毎日のブラッシングをさぼると、かわいいカールの毛が、ひどい縺れになり、2か月もすると、モップ状態になっちゃいます。そして、皮膚炎の原因にもなっている子を診察したこともありました。定期的にトリミングに出さないと行けない犬種ですから、その経費も、馬鹿になりませんよ。。。それを、最初に伝えないといけないのではないでしょうか?
最後に、「ボーダーコリーは人に対して、敵意を見せない(攻撃性が無い)。」
おいおいおいおいおい!!


確かに、とても賢い犬種で、『生まれつき大人しい子』や『育て方が良ければ』 問題が起こらずに一緒に過ごせる犬種だと思います。
しかし、私たちのような動物病院や、トリミング施設では、テレビの中のショップ店員さんの発言のような感覚ではないです

中には、本気で牙を向いてくるタイプのボーダーコリーがいまして、わたしたちのような動物を扱う現場としては結構多い印象です。
多くの飼主さんは、フリスビーをくわえ、人の言う事を良く聞く犬を想像して育てます。飼育初期にどれだけ、僕らが伝えても、最初の店員さんのいう事の方を信じており、まさか、そういう犬になってしまうなんて、夢にも思わず育てるんですよ。そして、そうなってしまってからでは、家族が容易に触ることも出来ず、たとえプロのインストラクターでもかなりの時間が必要になります・・・。
つまり、テレビの中のペットショップの店員さんの発言では、犬の良い所だけをお客に伝えており、その犬種のあり得るであろう問題をまったく伝えていないのです

大切なことは、その犬種の大変なことを伝えて、たとえそうなったとしても飼い続けられるかを一度家に帰って考えてきてもらうという、動物に対しての誠実な対応ではないでしょうか?
例えば、見た目にとても愛くるしいトイプードルは、日ごろのブラッシングや、目の周りのお手入れが必要です。 しかし、飼い主さんがブラシを持つだけで威嚇吠えしてしまったり、顔を拭こうとすると、噛みついてくるという事も、現場では良く耳にすることです

。
僕は、日々診療していて感じるのは、犬・猫たちにはもちろん罪は無いし、新しい犬の飼い主になる人にも罪は無い!と言う事です。
現在の『日本の飼主さん』は、ある意味『被害者』で、犬・猫たちも『被害者』と、感じます。
ドイツでは、動物の飼育に免許と最低年収が必要で、犬を飼うときには、ペットショップから購入することはほとんどなく、(ペットショップが少ないのだそうです。)シェルターと言う施設から犬を迎えることが常識で、その際に専門家とその犬や猫について話し合いを行うと、ドイツに住んでいた僕の友人が言ってました。
以前、テレビ番組で、日本でも、ボランティア団体の方で、犬や猫を新しい飼主に引き取ってもらう時にはドイツと同じように厳しい目で新しい飼主さんと話し合い、それから、その人たちの本気で動物を幸せにすると感じてから、動物を引き渡す風景を、東北の被災地のシェルターで行っているのを見ました。
それが、本気で動物を思う人たちならば、当然の事だと思います。
ですから、いつか日本のペットショップでも、利益に走らずに、本気で犬や猫の将来の幸せを願い、新たな飼主に、その犬や猫の良い所だけでなく、大変な部分も正しく伝えてから、引き渡してもらいたいと強く思います。そして、その後の10数年後のその家族の幸せを真剣に考える店員さんが増えることを期待します。100歩譲って、商売として考えたとしても、もちろん犬や猫は商品ではないですけどね、どんな商売も、売るまでが大切ではなく、売った後が大切だったんではないでしょうか?
最後に、もしこれをマスコミ関係の方が見ていてくれたら、お願いです!視聴率を取れるからと、かわいい動物ばかりの映像を使うのは止めてください!!先進国でこれほど、周期的に人気犬種が変わる国は日本以外にはないのです!!あなた方の作る映像を見て、かわいいからと、安易に犬や猫を飼い始める飼い主さんが多くいるからです。本気で動物が好きなら、動物たちのおかげで自分たちが生活できるんなら、感謝の気持ちで、これからの日本の動物たちの幸せにつながる内容のテレビ放映を考えてあげてください。マスコミ関係に僕の友人もいて、スポンサーの確保の大変さもわかりますが、もう、いいかげん動物を使った視聴率に走ることを止めませんか? お願いします。
動物に癒される人が増えると同時に、その動物の事を知ってあげて、お返しにその動物を癒してあげることが出来る人が増えることを切に願います。
獣医師 近藤 仁
posted by kondou at 20:37|
日記